No.169 [Elegy(挽歌)]
2011年9月号



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 【ひねくれコラム】NO・169
    〔Elegy(挽歌)〕
▼ようやく去るべき人が去る……か。右往左往、
支離滅裂の感じだった。静かに去る人に冷や水
を浴びせる気はないが、それにしても酷(ひど)
かった。またしても一年ぽっきりでポイ捨て。
誰が悪いのか。国民かい?国家かい?それとも
世間かい?
▼それでも前任者よりましだろうと思って見て
きたが、わずか一年少しで擁護し切れないほど、
「唯我独尊(ゆいがどくそん)〔自分だけが他
の誰よりも尊いとすること〕になっちまった気
がする。残念だがー。
▼「円高」「景気」「増税」「子供手当」等々、
国民生活に直結するテーマは、むろん大事なこ
とだ。独断と偏見だが、それ以上に、国家の
「威信」がすべてを優先すると思うが…。つま
り、『外交』と『防衛』の体たらくが現今
(げんこん)を招いているのではー。
▼「普天間問題」「尖閣沖衝突事件」その他、
拉致問題、TPPしかり。何ら進展、発展なし。
これで国家と言えるかい?特に昨年十一月の胡
錦濤国家主席〔中国〕との会談のメモを、顔も
上げずに棒読みする情けない失態。とにかく外
交において、弱腰が際立つ稀(まれ)な指導者
であった。
▼外交では、確固たる信念がない限り、相手は
足下を見てくるのは必定。それによって「国益」
を損なう。ということは、内政にも多大な影響
を及ぼす。ゆえに外交、防衛がすべてに優先さ
れるということだ。

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▼「右」であれ「左」であれ、どっちでも構わん。誰もが知るケ小平氏
の言葉にこうある。『白猫であれ、黒猫であれ鼠を捕るのが良い猫だ』
と。まさにその通り。識者はこう言う。
「首相になって何をするかの定見はなく、ただ権力者であるその地位に
しがみついていたいだけだ』―と。
▼「まさか?」と思っていたが、そのまさか、が本物だった。『脱原発』
にしてもそうだ。
突拍子もない発言にびっくら?した。あえて言うが、筆者は「広島被爆
者二世」。年端(としは)も行かない子供たちが、放射能に汚染される
のは見るに耐え難い。
▼彼には「だからどうする」がない。代替エネルギーはあるのかい?風
力発電、水力発電でGDP世界三位の日本国を賄(まかな)い切れるの
かい?D51を走らせ、石炭でストーブを焚き、極寒の冬を過ごせと言
うのかい?東北の被災者たちにー。
▼瞬時に指導者の考え、行動は世界に発信されるのが今日(こんにち)
だ。一度退陣表明をした者に、相手をする国はないのは誰でも解る。
外堀を埋められ、石垣を造られ、それでも「起死回生」を狙ったが命運
尽きた。如何(いかん)せん、権力に酔い過ぎた。
▼最後の頼みの綱であったオバマとの会談も流れた。ところが富士の山
頂から放たれた止めの矢は、彼の政治資金管理団体への献金問題。これ
以上の論評は控えるが、それにしても先月号で「彼は落とせない。よほ
どの兵でなければ彼を倒せない」と書いた筆者の面目丸つぶれ。ペテン
師と言われようがじっと耐え忍ぶのみ。               ―夢追人―

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         ―編集後記―
*「百花繚乱(ひゃっかりょうらん)」。夜空
に舞いあがる打ち上げ花火は色とりどりで美し
い。一呼吸置いて鳴る花火の音に、幼き頃の想
い出が脳裏を過(よ)ぎる。
*政界も華々しく花火が打ち上げられた。この
記事が目に触れる頃は、日本国の指導者が決定
している。さて誰だろうか?本命か、穴馬か。
それともアッと驚くタメゴローか。「全員野球」
「挙党一致」「一致団結」等々、空々(そらぞ
ら)しい成句のみが独り歩きする。いい大人が
今頃何言ってんだい。まず、今ある現実に対応
するのが優先順位の初めにありきだ。
*大震災の処理を350kmの速さを以(もつ)
て対処することだ。きょうは何日だ?八月二十
六日。震災が起きたのは三月十一日。もうそろ
そろ半年を迎える。ガレキの処理は?汚染水の
処理は?聖徳太子じゃあるまいし、一度に十人
以上の声は聞こえないと言うだろうがー。一方
の最大野党の責任も大。じっと息を殺していれ
ば、政権が転がり込むと思ったら、大間違い。
そうは問屋が卸さねえ。
*と言ってる隙に、米ムーディーズが日本国債
を格下げ。中国と並ぶってさー。その理由とし
て、平たく言えば「頻繁に首相が交代する政治
の不安定さから云々」とある。言わんこっ
ちゃない。ところで「ムーディーズ」って誰?
ドル〔米国債〕も標的にした不届きな輩(やか
ら)め。『ノクターン(夜想曲)』かい?それ
でも円は強し!         ―T・K―

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